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2014/06/09

SHICHIMAGA Vol.05 質流れ品やお買取品の行方

質流れ品・買取品は
どこへいくんだろう?

質流れ品・買取品はどこへ流れて行くの?

これまで、質マガでは質屋についていろいろなことをお話してきましたが、今回のお話がみなさん、一番関心が高いことではないでしょうか?それは品物の行方です。

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お客様からお預かりしたものの期限切れになり、“質流れ”となった品物、及び、お買取りさせていただいた品物が、その後どこへいくのかというご質問をよく受けます。「忘れていて質流れになって品物をどうしても取り戻したい」「プレゼントでもらったものなので、店頭に並べられると困る」など、事情はいろいろあるようです。品物の行方は各店の経営方針や品目によって様々です。いくつかある品物の売却方法について、主なものをご紹介させていただきます。

(1)店頭小売販売

質屋の店先や隣接スペースにショーウィンドウがあり、そこに時計や宝飾品、ブランドバッグなどが展示されているのを見たことがありませんか?全ての商品が質流れ品や買取品というわけではありませんが、自身の店頭で売却する店は少なくありません。自給自足ならぬ自流自売です。
お店によってはブティック風に改築して、しっかりと販売用のスペースを設けて営業している例もあります。自店の質流れ品や買取り品だけでは品物に偏りが出たりするため、後に紹介する「(4)競り市」で買い付けを行ったり、問屋、商社などから新品商品を仕入れて一緒に販売しているところがほとんどです。

(2)インターネット販売

自店のホームページや、ヤフー、楽天など大手ショッピングサイトに品物を載せて販売する例がここ数年で目立ってきました。10数年前は、ネット回線もISDNやADSLレベルが一般的で、ネット通販を行う質屋が全国でも20軒足らずでした。今やネット回線の速度も速くなり、スマホやタブレットなども普及し、ネットショッピングが活況となっています。老若男女問わず、誰もが気軽にネットショッピングを楽しめる時代ですから、ネットで販売する質屋が増えるのも当然のことでしょう。

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参入する質屋が増えれば当然、お客様の選択肢も増えます。商品状態や価格を気軽に比較検討することも簡単で、非常に便利です。細部の写真を何枚も掲載したり、商品の状態を詳細に説明している店も増えています。それでも不明な点は、電話での質問を受け付けているところも多く、以前よりハードルが下がって買いやすくなっています。販売する側とすれば、価格競争になるのがツライところです・・・。

(3)祭事イベント(バザー)

複数の質店が集まり、協力して開催する質流れ品のバザーイベントです。いまや、全国各地で開催されています。たくさん品物が集まり活気があるので、お客様も白熱し、ついつい買いすぎてしまうようです。インターネット通販と違い、たくさんの商品を実際に手に取ることができ、出品店やコーナーごとにいろいろと比較検討できます。
ちなみに大阪質屋協同組合も2000年にMIDシアターで開催し、好評を博しました。いまだに、「また大阪の組合でバザーを開催して欲しい」というお客様の声があり、開催が待ち望まれています。
なお、『質流れ品』と称し、実際は質店が運営していなかったり、質店が出品していないなどの場合がありますのでご注意ください。

(4)競り市(業者専門オークション)

質店やリサイクルショップなどの古物業者が集まり、競り市(オークション)が定期的に開催されています。各店の土地柄や立地条件、顧客層、経営スタイルなどで商材に得意・不得意の傾向があります。「うちはルイ・ヴィトンの買取りが多く、在庫過多になる」「うちはロレックスよりオメガが売れる」などの事情から、不要なものを処分し、自店に欲しいものを仕入れるのです。中には、海外に支店を持ち、そこへ輸出するために仕入れている業者もあります。
それ以外にも、繁盛しすぎて、買取り資金が足りなくなったために、泣く泣く在庫を売却するケースもないわけではありません。
競り市に出品される品物は、時計、宝石貴金属はもちろん、バッグや着物、電化製品や楽器などなど多岐にわたります。それぞれのプロである専門業者が競争して競り落とされますので、質店も店頭で安心して高値で査定ができるわけです。
プロが売り、プロが買う場なので、一般の方は残念ながら出入りすることはできません。

(5)専門業者に売却

楽器・電化製品や絵画など専門知識が必要な特殊商品は、専門業者と直接取引きする場合もあります。信頼関係を築き、安定した相場での取引を行います。

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質流れ品、買取品は主にこのようなルートで売却されていきます。
知人に「品物を店頭ですべて売り切るのは大変ですねえ~」と言われたことがありますが、質流れ品、買取品を全て自身の店頭で売り切ることは不可能ですし、資金にも限りがあります。ですから、ほとんどの質店は(1)~(5)をうまく組み合わせて自店の在庫を回転させ、資金繰りをしているのです。
このように、様々なルートで商品が売却されていくため、「流質期限を忘れていて流してしまったロレックス」「要らないと思って売ってしまったルイ・ヴィトン」を後日、質屋の店頭に探しにきても、残念ながら見つかるケースはほとんどどありません。我々がアドバイスできるとしたら、「質札を繰り返し見て流質期限はお忘れなく」「手放すときは、よく考えて」ということに尽きます。