楽

質マガジン質マガ

2014/3/25

質屋って古くからある
イメージだけど、
実際いつから質屋って
あるんだろう??

さて、突然ですがここでクイズです。

Q:質屋はいつ頃からあったのでしょうか?

下記の中から選んでください。

  1. 昭和
  2. 江戸時代
  3. 弥生時代
  4. 鎌倉時代
  5. 室町時代

4.鎌倉時代です。
質マガvol.1の最後の方に記述がありますので、vol.1をご覧になった方ならかんたんな問題でしたね。

正解は・・

「日本の質屋」という書物には「質屋700年」と記されています。この本が発行されたのが昭和57 年頃なので、実際には質屋が誕生してから700年以上になると考えられます。
ちなみに、有名ブランドの創業年はルイ・ヴィトン1854年、エルメス1837年、ロレックス1905年、オメガ1848年といずれも200年足らずなので、質屋の歴史がどれだけ古いかおわかりいただけるでしょう。

画像

質屋の仕組みは、質マガvol.1で触れたように、「モノを担保にお金を貸すこと」です。
これは、古来より変わりません。江戸時代の質物台帳には古着(着物)、反物、大工道具類、鍋等の記述がありますので、当時はこれらが質草となっていたようです。お金が必要だからこそ、モノを担保にお金を借りるのであって、物々交換社会では質屋は必要がありません。つまり、質屋という職業は貨幣経済がないと成り立たないのです。歴史的には、鎌倉時代の中期頃に庶民の生活まで貨幣制度が浸透してきたといわれています。この頃に「庫倉」という動産金融が行われたとの記録が残っているそうです。これ が室町時代になると「土蔵」「土倉」となり、江戸時代に「質屋」という名称になり、現代まで発展してきました。

江戸時代の幕藩体制では、幕府法と藩法が共存し、かつ両者の間に一貫性がなく全国統一の幕府法すらありませんでした。そのため、藩によって法が違うということが当たり前でした。明治以降、中央集権国家として全国統一の法律が作られました。その際に制定されたのが「質屋営業法」でこの法に基づく質屋という商売が近代質屋として発展してきました。ちなみに鎌倉時代以前については、モノ同士による貸し借りが制度としてあったようです。これは中国から遣唐使よって持ち込まれた制度で、奈良・平安時代の「出挙(すいきょ)の制」がそれにあたります。文武天皇の大宝元年(701 年)に制定された大宝律令の中に「質制及び出挙の制」という規定があります。そこには「年貢米やそれに見合う絹布などが納められないときは、その家の男衆が人質となり寺の造築や河川の修復などに人夫となって働かねばならない」と記してあります。どうやら、ここから「人質」という言葉が発生したようです。

人が農工商業を営むにおいて、どうしても時期によって収入の増減、収穫の豊不作が発 生します。たとえば、実りの乏しい時期に食べ物を分け与え、豊かなときには返してもらう。そうすることで、みんな助かりますし、貸した分よりも少し多く返してもらうことによって利ざやを稼ぐこともできます。こうした仕組みは自然発生していたようで、世界各地の宗教団体、地方の豪農、地主間でも行われていたようです。

ただ、この制度は直接「質屋」のご先祖様というわけではなく窮民救済の意味合いのほうが強いようです。この制度がヒントとなり、また貨幣制度の浸透により、商行為として動産を質にとって営まれる質屋が鎌倉時代以降に確立されたと考えられています。